
香港の旅の翌月、業務提携、アパレルの仕入れ共にスムーズなスケジュールを終え、ロサンジェルス国際空港で関西国際空港行のフライトの搭乗を待つナザレ。
それにしても、なぜか団体ツアーの人達でとても混雑している。
チェックインカウンターでは、搭乗口で座席が決まるとのことで、座席未定のまま待つナザレ。
搭乗が始まり、団体旅行の人達が次々と搭乗していく。
そして、その後、搭乗するはずっだった飛行機からボーディングブリッジ外された瞬間に初めてナザレの身に何が起こったのかを理解できた。
無情にも飛行機はそのままナザレを置き去りにして出発して行った。
慌てて搭乗口カウンターに詰め寄ると、航空会社の社員は分からないの一点張り。
更には、「私に聞かれても困ります。私の仕事はもうおわりなので、」との返事で、困り果てていると、
「大丈夫ですか?」
「もしかして、あなたもオーバーブッキングで取り取り残されたのですか?」
と優しい声をかけて下さったのは、上品な老夫婦。
話を聞くと、その老夫婦と息子さんとで、お客様を見送りに来て、そのお客様も私と同じ境遇だった。
「大丈夫ですよ、もし今日飛行機が取れないようなら私の家にいらっしゃい」
「私達の家は2ベッドルーム2バスルームのコンドミニアムだから、気軽に宿泊できるのよ」
とのことで、上品な老夫婦はとても親切な人だった。
そして、空港のカフェでフライトを待つことにもお付き合い下さるとのことで、その間、ご夫婦と息子さんともに意気投合し、今後のビジネスの展望で会話が盛り上がった。
「次は、ホテルを取らずに家にいらっしゃい」
ご夫婦は、リトル東京のコンドミニアムで二人暮らしで、一部屋はゲスト用に空けているとのことだった。
そして、6時間が経過し、航空会社からホノルル行のビジネスクラスが用意され、ホノルルで宿泊し、翌日のフライトで日本に帰国することになった。
このトラブルにより、ナザレは貴重な友人であり信頼できるビジネスパートナーを得ることになり、更には、頻繁にアメリカと日本を往復する中でハワイ経由の帰国ルートを発見し、ナザレの冒険の旅が彩りを増して行った。
ナザレは、益々、アメリカ本土とハワイ立ち寄りの旅を存分に楽しむことになる。
それは、怖いもの知らず、夢と希望いっぱい、無我夢中で行動するナザレに神様が手を差し伸べてくださったに違いない。