
裏山の梅の花がほころび、早春を告げる。
立春を迎え、庭では雪帽子を被った椿が紅色に染まる。
満開の桜並木にぼんぼり、
山並みには、今年も同じ場所に遠くに見えるから憧れる花、こぶしが咲いている。
新緑が勢いを増すころ、サツキの花の開花と共にナザレの誕生日がやってくる。
そして、おたまじゃくしから成長したカエルたちのひと時の大合唱が終演を迎えるころ、強くなった日差しが眩しい待ちに待った夏休み。
ナザレは、夏休みのラジオ体操に行く時の早朝のノスタルジックな空気が大好き。
夜には、蛍を見に行き、帰り道に空を見上げると無限のプラネタリウムが広がる。
天の川や星たちの吐息が聴こえて来そうで両手を広げると届くような星空を仰ぐと、宇宙の果への想いがつのる。
高くなったコバルトブルーの空に赤とんぼが飛び、河鹿の声が聞こえてくると
稲穂が黄金色に実り、柿や栗など山の果実の収穫の時がやってくる。
黄昏が美しい季節が過ぎるころには、ジングルベルがなり始め
祖父が山から大きなもみの木を切ってきてクリスマスの飾り付けを始める。
師走の空は、ふたご座流星群。
毎年繰り返される星たちのいち大イベントが終わるとまた年が巡る。
大自然の中で育ったナザレは今、カリフォルニアの丘のテラスから、仕事の合間にいとおかしく、カラスと鷹の 2対2 で実に絶妙なチームワークにより、毎日繰り広げられる上空の小競り合いを眺めている。
大きな羽を持つ鷹はスピードで鋭くカラスに勝負をかけ、賢いカラスは、フェイントをかけて、それをかわし果敢に仕掛け返す。
空が個性は叡智、勇気は成長だと言っている。